雨と海

何やら今日の夜から台風12号が関東を直撃するらしく、怒涛の金曜の仕事を土曜朝に終えて、職場から地上に這い上がったらやっぱりしとしとと篠突く雨が降っていたわけだけど、彼の仕事がまだ終わってないらしく、あと1時間はかかると言われたのでそのまま海を見に行こうと思った。

 

よくよく考えれば早朝の海というのはまだ見たことがない。返って天気が悪い早朝の海というものを見たくなった。

おなじみ晴海埠頭に行こうと思ったのだけど、バスの時刻表を見たら30分先になりそうだったのであえなく断念した。

 

そこで、私がいつも電車の車窓から見るとある景色に会いに行こうと思った。

 

彼の仕事が終わるのを待ってる時、私はたまに電車に乗って行ける所まで行って、またそこから待ち合わせの最寄り駅まで帰ってくるというちょっとした電車の旅をする。

 

それはいつもは使わない側の路線だったりで、車窓から見える景色は普段とは全くの別物たちばっかりだ。

その中でも特にお気に入りの場所がある。

 

古い古いネオンが、古びた家の壁に貼られている。

そのネオンが光っているところは、今の所一度たりとも見てはいない。

 

けれど、何となく懐かしい雰囲気のそれを見る度に、私はそのネオンが示している通りの「お店」が、まだ息をしていることを夢見続けている。

 

もし、まだ開いているのであれば、古い薬局だ。そこで働いてる女の子を想像してみたり、汗っかきのサラリーマンがそこで売っている名物の石鹸をはにかみながら買ってるところなんかも想像したりして愉しんでいる。自然派の石鹸や、洗剤などが売られていたらいいのになと思う。

 

虹色で透明なシャボン玉のような恋をしている、そんな女の子が働いていたらいいなと思う。

 

目を閉じて、そんなことを想像する。

 

 

今日は本当はそこに歩いて行くつもりだったのだけど、そっちに行くにはあまりにも足が痛かったので、また今度、と空想の女の子に手を振ったのであった。

 

明日は花火大会、開催されますように。